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ヒューマンコンピュータインタラクション (HCI) > 要求工学

要求工学とは

ソフトウェア工学は広くソフトウェア開発,運用保守といった方法論をカバーします.そのソフトウェア開発の中でも要求定義を工学的に取り扱うのが要求工学です.当グループでは,要求定義におけるコミュニケーションを支援することが不可欠と考え,ヒューマンコンピュータインタラクションの知見を取り入れ,研究を行っています.


背景

ソフトウェア開発の初期段階において行う要求定義とは,開発するソフトウェアに必要な機能や性能などをまとめることを指します.プログラミングやテスト工程と比べて手間がかからない作業と思われがちですが,このような軽視が後に及ぼす影響は大きいのです.

コードを書き始めてから,設計の間違いに気づいて設計をやり直す,といったいわゆる「手戻り」は全開発費の30から50%を占めます.そのうち要求定義の欠陥が招くコストは70から80%を占めるといわれています.ここでいう要求の欠陥とは,例えば顧客の望まない機能や,望んでいる水準に達しない機能を仕様書に盛り込んでしまうことです.ソフトウェア開発のコストを下げるためには,要求定義に欠陥が起こる原因を明らかにし,改善していく必要があります.


要求定義におけるコミュニケーション

要求定義プロセスは,要求獲得,要求仕様化,要求検証,要求管理という一連の流れになります.これらの作業の多くは対面でのミーティングによって行われます.すなわち,要求定義とは顧客と開発者のコミュニケーションによって成り立つ作業だといえます.したがって顧客と開発者が円滑に意思疎通を行えなければ,要求に欠陥が生じます.

この欠陥が上記のように,ソフトウェア開発のコスト増大につながるのです.ただし顧客と開発者の立場や業務経験の違いから,意思疎通がうまくいかない,さらに意思疎通の破綻自体に気づかないといった事態が生じる事が少なくありません.


研究内容

当グループでは,要求定義プロセス,特に要求獲得において生じる問題を,顧客と開発者の対面コミュニケーションの問題として捉え,ソフトウェア工学,ヒューマンコンピュータインタラクションといった分野の観点からその解決策を探っていきます.

例えば,開発者が顧客から要求を獲得するスキルを明らかにして,上達するためのガイドラインを構築したり,コミュニケーションを活性化させるミーティング支援環境を構築したりすることで,開発者は顧客から要求を引き出しやすくなります.また,その要求をどれだけ理解できているか指標を示すことも必要になります.


進行中の研究テーマ

要求獲得における人的要因の分析 顧客と開発者の間のコミュニケーションが,要求獲得に与える影響とは?
要求獲得支援ツール 開発者が的確に要求を獲得するためには,どのようなコミュニケーションが望ましいのか?
要求獲得状態の評価 要求定義ミーティングで,相互理解が構築されたかをどう確認すればよいのか?

参考文献

[1] 大西淳, 郷健太郎: 要求工学,共立出版. 2002

[2] Karl E. Wiegers: ソフトウェア要求,日経BP社. 2003



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